[es] 「もしもし―――――涼介だ。」 昨日の夜、涼介から久しぶりに電話があった。 涼介とは走りを通じて知り合い、衝突も多かった。 けれど、どうしてだか生まれてしまった、この関係。 京一も涼介も、きっとこの関係を友情なんて言葉では言わない。 うまく言える言葉は思いつかない。 そんな繋がり。 「ここでいいのか?」 京一は電話で家に来いと言われ、正直驚いた。 今までは絶対に家に呼ばれるなど考えられなかったのに。 「いいんだ。誰もいない。」 涼介は、いつもに増して透けるような白さだった。 京一を呼ぶのはいつもそんなときだった。 京一は涼介に持ってはいけない感情を抱いていた。 涼介は知らない。今までも、そしてこれからも言うつもりはない。 「涼介」 ベッドに押し倒される涼介は無抵抗で、まっすぐに京一を見ている。 しばらく見つめあって、視線の契約が交わされた瞬間、 京一は涼介の首筋に噛み付いた。 「あ・・・っ」 涼介の服は荒々しく捨てられ、ボタンが1つ転がった。 京一は、この瞬間が一番好きだった。 『赤城の白い彗星』 誰とも関わりを持つことも無く、群馬の走り屋の頂点に立った男。 走り屋の憧れで、誰もが涼介を崇めた。 その憧れを京一は自由にしていた。 「あぁ・・・・!!はぁ・・・・っ!!」 乳首をつねると、涼介は気持ちいいくらい素直に反応する。 「ん・・・っ」 涼介が京一を呼ぶのは、『眠るため』だ。 精神が高ぶって眠れなくなることがしばしばあり、そんなときは京一をを呼ぶ。 そして壊れるくらい激しく身体を重ねる。 涼介が気絶するまで。 そうやって強制的に涼介の精神を眠りに導くのが京一の務めだった。 「京一・・・ん!!」 「こっちか?随分欲しがるようになったな、涼介」 涼介の太ももを京一の手が這い出す。 無意識のうちに京一の手に自身が当たるように腿を摺り寄せる。 「・・・”欲しい”って言ってみろ」 京一は涼介を見下ろして言った。今までこんなことは言ったことがなかった。 いつだって、涼介が優勢で、京一は涼介に触れられるだけでよかった。 どう思われていようが構わなかった。 「きょう・・・ア、」 「言わないとやらねぇ」 涼介にとって、それは紛れも無い屈辱で。でも今は―――― 「・・・・欲しい・・・」 京一は驚かなかった。 「京一、欲しいよ・・・・お前が・・・!!」 「・・・ふん」 普段の涼介なら、殺されたって言わない。 京一はわかっていた。 セックスをするとき、涼介は異様に敏感になり、そして淫らになる。 睡眠欲、食欲、そして性欲。 すべて抑えられているぶん、溜まるとパニックを起こして涼介のような事態になるのだろうか。 セックスを求めてくる涼介はまさに欲望をすべて性欲に変換しているようだった。 涼介の性器を強く握る。 「ウァァ!!!」 「涼介・・・」 いきなり涼介の脚を開かせ、秘部に性器を押し当てた。 涼介の半開きの口の端からは唾液が伝い、無意識に瞳で京一を誘う。 京一がクッ、と口の端で笑ったのを合図に、激しく運動を始めた。 「あ・あ!!」 最初から激しく貫かれ、涼介の下の口はキツク京一を締め付ける。 「力・・・抜いとけ」 この行為を言い出したのは涼介からだった。 眠れなくて、俺を呼び出して飲んだ後、 『俺を抱けるか?』 そう聞いてきた。 正直なところ、オレは涼介に以前から欲情していたのかもしれない。 同じ男なのに、自分とは全く違うつくりのキレイな身体。 触れてみたいと思った自分を何度苦労して抑えてきたことか。 からかう様でもなく、本気の涼介に、俺は―――――。 『抱けないこともないな』 「もっ・・・と!!京一!!」 「腰・・あげろ・・・っ」 「んあっ・・」 涼介と京一は何度目かの絶頂を迎えた。 身体を重ねていくうちに、京一も涼介も本能だけで動くようになる。 恋人たちが愛を確かめるような、そんなかわいいものではない。 けれど、今日は・・・・。 「涼介・・・」 京一は涼介の腿に舌を這わせる。 「京一・・・?」 今までやったことがなかった愛撫。 「あ・・っ」 京一は涼介の性器を口の中に入れた。 歯を立て、舌で舐めまわす。 「ん・・・京一・・・」 舌の裏の方で舐めると、余計にザラザラして大きな刺激が伝わる。 「は・・・ぁ」 さっき射精したばかりの涼介も、硬くなっていくのがわかる。 「京一・・・俺は・・お前が・・・キラ・・・イだ・・・」 京一フッと笑って言う。 「俺もだよ・・・」 いつ終わるのかわからない関係。 多分、終わらせるのは涼介の方なのだろう。 勝手に近づいてきて、勝手に離れていく。誰もお前を飼いならすことなんてできないんだ。 だから、今だけ。 今だけお前を自分だけのものにしたっていいだろう。 なぁ、涼介。 |